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「浪人街」はいい


「浪人街(1990)」

監督 黒木和雄
脚本 笠原和夫
原作 山上伊太郎
出演者 原田芳雄 石橋蓮司 勝新太郎 樋口可南子


私は見ていてすごく好きな感じだったんだけど、もしかしたらこれは時代劇としてちゃんと見るとこの話はつまらないような気がする。
とゆーのも物語の起承転結が凄くよくできているわけではないのだ。予告編やもろもろの解説ではクライマックスの大立ち回り(4対120!)に向けて盛り上がっていく王道剣戟物のような映画とされている印象があるけれど、登場人物達はそんなに真面目にエンターテイメントに徹するようには見えない。はっきり言ってクライマックスまでぐだぐだぐだぐだダメ侍4人が揃いも揃ってマジでダメなのだ。つーかそのダメ加減が絶妙に好きなので個人的に物凄く楽しめてしまったが、こんな解りやすい題材とキャスティングなのに伝わりづらい映画だよな〜っていう気がした。

  • 伝わりづらさ1

原田芳雄(荒牧)が常にべとべとしている
マジで汚らしいしダメ男過ぎる。それに対して樋口可南子のイイ女感が「もうっなんでこんな奴と!!」みたいな対比になってて、その二人の共依存関係がすっと入って来ることがこの映画を楽しむコツだと思う。
この荒牧の飄飄としてるけど実はもうホントギリギリっていうか病気っぽい感じというか、奥底に覗いているのは腹が据わった侍というよりも何をしでかすか解らない獣なのではないかなあと思う。それをなんとか女たらしとかお調子者のちゃらんぽらんの風貌で誤魔化しているのがこの役柄のミソだ。

  • 伝わりづらさ2

勝新(赤牛)が良い奴なのかやな奴なのか判らない
赤牛は気狂いだ。話をかき乱すだけかき乱して、最も死を恐れているはずだった男が死を選ぶこのリメイク版の赤牛は、ダメ侍達の中でも特に精神を病んでいるといっていいのでは!夜鷹たちに一番優しい気のいい用心棒のこの男が視聴者を裏切り一切の感情移入を退けるのは、彼の二面性こそお侍の矛盾を映している・・・のか?
まあ結果的にうどんが好きな小心者が結局最も侍らしい生き方みたくなっちゃって(後から思えば全て脂肪フラグっぽい)、ズルいなー牛。

  • 伝わりづらさ3

鳥のクソ!

  • 伝わりづらさ4

「牛さん、まぁたやったのかィ」
「百文入れとくでぇ」
「あらまえれぇ稼ぎだったんだねェ」
「えっへへへドヤ」
「そんなに殴られてばっかりいると好い加減頭がおかしくなるよ」
「これ以上おかしくなることはあらへんで」
「そりゃそうだわ」
ここ好き。

  • 伝わりづらさ5

「やれ」
「どけ」
「やれぇ!」
「…退かぬと」
「斬るか?、斬ってからやるか?」
ここもいいんだよなぁー、こーゆーやり取りが斬り合いよりもミョーに緊張感がある。
時代劇チャンバラモノとしてのリアリティはほぼないが(鎧とか馬とか白装束とか)、アウトロー(世の中=武家社会からあぶれた無頼達)の危なげなスレスレの身の振り方みたいなとこがカッコ良く見えてしまうのである。